消費者目線のものづくり
ロンドンの大学でテキスタイルデザインを学び、帰国後はアパレルメーカー、テキスタイルデザイン事務所、ライフスタイル雑貨ブランドなどで企画・デザイン業務を経験してきました。ファッション、インテリア、雑貨と多様なフィールドで培った感覚と技術を、現在はタオルという“最も日常に近い織物”の領域に活かしています。
これまでギフト仕様や装飾性の高い商品に携わる機会が多かった中で、「もっと生活そのものに寄り添った機能性ファブリックをつくりたい」という想いが芽生えていました。伊澤タオルのものづくりは、素材選定から用途設計、販路提案に至るまで“生活者目線の実用性”を徹底的に追求していて、そこに共感し入社を決めました。
業務は大きく分けて二つあります。一つは、大手リテールのお客様に向けた企画提案。営業担当と密に連携し、素材、形状、配色、パッケージまでをトータルに設計した提案資料を作成します。もう一つは、その企画が採用された後の商品化プロセス。サンプル作成から工場とのやりとりまで、デザインの設計図を実際の“商品”に落とし込むディレクション業務です。現在の課題は、多様なブランドニーズに応えつつ、いかにスピーディに具現化していけるか。その“設計力”と“実行力”の両輪を日々磨いています。

デザイングループは世代もキャリアも多様で、それぞれの得意分野を活かしながら案件を動かしています。カテゴリー横断のプロジェクトも多く、日頃から売場リサーチ、織り技法、素材開発、海外市場の動きまで、幅広い視点でインプットを共有し合うカルチャーがあります。
売り場に足りない「何か」を創り上げる
デザイン提案がクライアントのニーズとぴたり重なった時の“手応え”は格別です。そのためには、商品を納める売場の空気感、生活者の視線、そして小売ごとの世界観を身体で感じておく必要があります。私はできるだけ自分の足で売場に赴き、「この棚に今足りないのは何か?」を見極めるようにしています。そこから逆算して提案を構築するのが、この仕事の面白さです。

タオルというプロダクトは、糸の選定からパイルの立体表現、仕上げの風合いまで、テキスタイルとして非常に奥深い構造を持っています。私も伊澤タオルで初めてその内容に触れ、柄の出し方、触感の設計、視覚と手触りの両立といった、タオル特有のデザイン手法を学びました。
私たちが手がけているのは、誰もが知る大手流通ブランドのプロダクトです。それだけに自分のデザインが経済や流通に与える影響も実感できます。現在はグローバル展開を見据えたプロジェクトも進行中で、今後は日本の生活者に向けて培ったノウハウを、世界の市場に展開していく挑戦が始まっています。
“わからないことは聞ける”“誰かの専門性を借りられる”そんなフラットな風通しがあります。
私自身、タオルのデザインは未経験からのスタートでしたが、技術開発グループから素材や製法の情報を得たり、営業グループから市場データをシェアしてもらったりと、他部署との知見共有が非常に活発です。学ぶための環境が整っていると感じます。
タオルは、赤ちゃんから高齢の方まで、すべての人の暮らしに寄り添うテキスタイルです。
だからこそ私は、この最も身近な“織物”の未来に挑戦したい。
生活の質を静かに底上げするような、機能的で美しいタオルをデザインし、それを「グローバル・スタンダード」として世界へ届ける。その未来を思い描きながら、日々ひとつひとつの案件に丁寧に向き合っています。